アルバイト・社員に関わらず、ネイリストをされている方は「いつかは自分のお店を持ちたい!!」と考えている方が多いかと思います。
しかし、新規でネイルサロンを開業するには、ネイルの施術技術だけではなく様々な知識が必要になってきます。
そのひとつが、ネイルサロンを開業するために必要な資格や届出です。
この記事ではネイルサロンに必要な資格や届出についてお話をしていきます。
ネイルサロンの開業に資格は必要ない
最初に結論から言ってしまうと、ネイルサロンの開業・運営には資格は必要ありません。
年齢や学歴・性別はモチロン、主婦でも、どんな経歴でもネイルサロンを開業することができます。
ネイルの施術技術が無くても、施術者を雇えばいいので開業できます。いわゆるオーナー業ですね。
もっと言ってしまえば、ネイルの技術が無くても開業が出来てしまう業態と言えます。
ただし施術技術が無く開業をしたとしても、顧客がリピーターになることはないので、あっという間に廃業することになるのでご注意ください。
そこで登場する有名な資格として、『一般財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)』主催の、『ネイリスト技能検定試験』があります。
技術的には一般的にJNE1級~JNE3級に合格をしていることが最低条件ですね。
また、スタッフの採用などの判断としても使われることが多いので、時間に余裕のある方は取得しておきましょう。
ただし、これは国家資格ではないので法的な束縛は一切なく、あくまで自己満足の世界にしかすぎません。雇用される場合は給与が変わることも多いですが…。
しかしながら、すでにお話をしたようにネイルアートの技術が出来て当たりまえですし、接客サービスや店舗イメージなどのプラスアルファがなければ、現在のネイル業界で生き残ることはできないのでご注意ください。
資格・ライセンスの取得やネイルアート技術は、ネイルサロン運営のあくまでもスタートラインだということを覚えておきましょう。
※マツエク(アイラッシュ)をする場合は美容師免許の取得が必須となるのでご注意ください。
高い技術力だけでは太刀打ちできないので、このブログで良く学んでくださいね♬
ネイルサロンの開業には「各種届出」が必須
ネイルサロンの開業に資格は必要ないとお話をしましたが、個人サロン・店舗型に限らず、ネイルサロン開業には『届出』が必要です。
これは「税金がどう納められるのか?」という観点から必須となります。
そして、届出には事業形態によって異なり、『個人事業主』と『法人』の二通りがあります。
※美容室でのネイルサロン併設店として開業する場合は売り上げを「どう集計するか」によって変わりますので、美容室オーナー様とご相談ください。
「個人事業主」での届出について
ネイルサロンを開業しようとするほとんどの方が『個人事業主』でのスタートになるかと思います。
自宅やマンションの一室などでの開業ですね。
もちろん、店舗を構えるネイルサロンであっても『個人事業主』でも構いません。
『個人事業主』と『法人』との最も大きな違いは税金の納め方の違いになります。(詳しくは後述します。)
『個人事業主』での届出の仕方は非常に簡単です。
お住まいの地域の税務署に行き、『個人事業主の開業届』を提出するだけです。
わからないことは税務署で親切に教えてくれるのでご安心ください。
※マツエクも同時に施術する場合は別途 保健所へ美容所登録の届出が必要になります。
『法人』で開業する場合の届出について
次に『法人』として事業を始めるためには、『法人(株式会社)』を設立することから始めます。
一般的には行政書士や司法書士との相談によって『法人』の設立準備を進めていくため手数料がかかります。
個人でも『法人』の登記ができますが、法務局への登録料だけでも20万円ほどかかりますし、複雑な手続きが必要になるのでプロに任せた方が良いです。
行政書士への手数料などを含めると、トータルで30万円程が相場です。
法人設立で決めることとしては…
- 法人名
- 事業年度
- 発行株式数
- 株主
- 定款
など『個人事業主』と比べても多く複雑です。
また、『個人事業主』が税務署だけに開業届を提出する必要があったのに対して、『法人』の場合は県税事務所と市役所への届出も必要になります。
『個人事業主』と『法人』の違いは?
『個人事業主』と『法人』との大きな違いは2つあります。
ひとつは税金の計算の仕方。
そして、もう一つは社会保険への加入に関してです。
税金の計算の仕方について
『個人事業主』の場合は、利益に対して約15%~55%の所得税・住民税がかかります。
利益とは売上から家賃や従業員の給与などの経費を引いたものです。
一方で『法人』の場合は、売上から経費と役員報酬(オーナーの給与)を引いた利益に対して、一律約25%の法人税がかかります。
また、赤字でも年間最低71,000円の均等割という税金がかかります。
そのため、利益が多ければ多いほど『法人』の方が税金の支払いが低くなります。
社会保険の加入でどう変わるのか?
『個人事業主』の場合、社会保険の加入に関しては従業員が5人未満であれば加入の必要はありません。(加入をすることもできます。)
また、まつ毛エクステの施術もする場合は社会保険の扱いが異なる『美容業』に該当するため、従業員が5人以上であっても社会保険の加入は任意となります。
一方で、『法人』の場合は必ず社会保険に加入する必要があります。
一般的には健康保険・介護保険・厚生年金・労災保険・雇用保険になります。
そして、従業員の募集などに関して言えば、社会保険完備をしている事業主の方が信用度が上がり募集されやすい傾向にあります。 その場合は本人が社会保険に入るかどうか決めます。
店舗が集客したお客様に対して、個人事業主として独立したネイリストが施術を行う形です。
『個人事業主』と『法人』どちらを選ぶべきか?メリットやデメリットについて
一般的に多い流れですと、『個人事業主』としてスタートをする人が多いです。
主な理由としては
- 開業手続きが簡単
- 確定申告も法人より簡単
- 利益が少ないと税金の負担が軽い。
- 負担が大きい社会保険への加入が任意。
- 廃業する場合も法人より簡単。
上記に挙げた項目が主な理由です。
ただし、ある程度の利益が見込めたり、将来的に事業規模を拡大したい場合は『法人』化を視野に入れることをお勧めします。
例えばネイルサロンオーナーの大きな悩みとして、個人サロンの限界があります。
自宅やマンションの一室で一人でサロン営業をしている場合…
売上は顧客単価×回転数となり、売上の天井が見えていきます。
そのため、売上を増やすためには、席数を増やしたり多店舗展開が必要となり、どこかのタイミングで従業員の募集が必要不可欠になります。
しかし、『個人事業主』での求人の場合募集をしてもなかなか集まりません。
一方で、『法人』での求人募集の場合、社会的信用度があるためスタッフを採用しやすいです。
また、募集内容で社会保険完備は応募を多く得れる点でも重要な要素となります。
あなたが、ネイルサロンで勤めていた時に転職したことがある人はわかると思いますが、会社規模や社会保険等、働く上で安心につながる部分を非常に重要視していたと思います。
また、他の人から出資をしてもらう場合においても、株主になってもらうことで出資がしやすい環境を整えることができます。
このように、開業するオーナーさんの考え方や今後の事業展開の方向性も大きな検討要因の一つですので、ご自身の経営に対する考え方を一度整理して、検討することも大切です。
まとめ
ネイルサロン開業における各種届出についてお話をしました。
『個人事業主』と『法人』とのメリットやデメリットがおわかりいただけたかと思います。
また、現在あなたがネイルサロンで働いているのであれば、経営部分にも自分から率先して触れていきましょう。
店舗の売上やスタッフの募集など…働いている場所で学べることは非常に大きいです。
繁盛ネイルサロンを経営するためには、学べるところからは貪欲に学んでいきましょうね。